近年,少子高齢化や女性の社会参加・核家族化の影響によって育児環境が大きく変化し,養育者,とくにお母さんの育児に対する負担感,育児ストレスが懸念されています。また,高齢出産化が進み,妊娠・出産に不安を感じる方も増えています。子どもを取り巻く社会的環境の変化から,思いやりや自制心など,子どもの社会性の育ちも気になるところです。
私たちの研究グループは,妊娠から出生,就学前までのお子さんとお母さん,そして両者を取り巻く環境の諸要因について継続的に調査することによって,子どもの健やかな育ちと幸せな子育てのために必要なものは何なのか,科学的根拠に基づく提案をすることを目的としています。本研究の結果をもとに,家族,地域,また行政に対しても,子どもの育ちをサポートし子育てをもっと楽しくするための情報を発信したいと思います。
私たちの研究グループでは,小学校における算数を中心に,学習者と指導者を対象として「学ぶこと」「教えること」を考えます。
問題を解く学習者のことを理解するには,目に見える“正解か不正解か”,“どれぐらい時間がかかったのか”といったことと,目に見えない“どのように考えたのか”を調べることが大切です。また,それを指導する指導者のことを理解するには,目に見える“どのように教えたのか”と,目に見えない“学習者の状態をどのように捉えていたのか”を調べることが重要となります。ただし,こうした過程は,無意識的な部分もあり,本人が全てを記憶できない難しさがあります。
そこで,本研究グループでは,無意識的な部分や記憶できない部分についても分析すべく,学習者と指導者の脳活動や視線の計測を行いながら,学ぶ・教える過程について,検討を進めていきます。
私たちの研究グループでは,大学生を対象としたキャリア発達と教育,社会人を対象としたキャリア発達と支援を考えます。
キャリアについて検討することは「いかに生きるか」を考えること,と私たちは考えています。「いかに生きるか」や「いかに働くか」に着目し,その多様な姿を描くことは,人が自分らしい生き方を望み,幸福を追求するうえで必須のものだといえるでしょう。
本研究グループは,「それがいかになされるのか」,「それをどのように支援できるのか」を考えます。とりわけ,当人たちの語りに耳を傾け,人生のプロセスを描き出す方法論(Trajectory Equifinality Approach: TEA)を用いて,研究を進めていきます。
私たちの研究グループでは,健康寿命の延伸のために,中・高年者を対象とした地域主体の健康づくりのあり方とその意義について考えます。
地域主体の健康づくりは,その地域に住まう人々や文化に応じたものである必要があります。少子高齢化社会を迎えた今,各地域の特色に応じた健康づくりのあり方を研究することは,人々が自らのライフ(生命・生活・人生)をより良く生きることにつながると考えています。また,そうした地域に応じた健康づくりを考えることで,災害時に回復可能な地域づくりにも貢献できると考えています。
本研究グループではこうした観点から,地域住民のQOL(生活の質)に着目した調査研究や,被災地に対するフィールドワーク,国際比較研究など様々なアプローチを用いて,研究を行っていきます。
私たちの研究グループでは、高齢者が安心して暮らせる環境づくりと、多様な文化的背景を持つ人たちが健やかに暮らせるコミュニティづくりを考えます。
近年、65歳以上の高齢者人口は主要国では最高、在留外国人数は我が国の過去最高を記録し、日本社会は少子高齢化・多民族化・多文化化してきています。こうした社会の変化に伴い、高齢者や外国人を含む社会的マイノリティ当事者たちの健康に加えて、社会が一体となって変化に対応するための方策を見いだすことは大変重要な課題であると考えます。
私たちのグループは、高齢者や外国人、そしてマイノリティを含むコミュニティを対象とした研究成果を積み重ね、幅広い援助方法の発展に繋げています。また、私たちのグループは諸外国との共同研究にも力を入れているため、広い視野で物事を見ながら社会に貢献する意識を持つ研究者の育成に努めています。